
ぎっくり腰(急性腰痛)
・重いものを持ち上げた時やお辞儀をした時、立ち上がろうとした時に起こる。
・動作に激痛を伴う重度の場合は、アイシングを行ったり、痛み止めを服用する。
・軽度~中等度の痛みはあるが生活動作を行える場合。急性期にストレッチを行っても良いかどうかは、個人差による。ただ、その効果については、大差はないといわれている。なので、無理のない範囲(やや痛みはある)で普段通りの生活を心がける。
腰椎椎間板ヘルニア
・後方に髄核が突出することで脊柱管が狭くなり、脊髄神経が圧迫を受ける。神経が圧迫されることで、腰椎や足の痛み・痺れ、足の冷えなどを引き起こす。
・習慣化された脊柱後弯位により、椎間板が潰れ、後方に椎間板が突出するケースが多い。
・腰椎椎間板ヘルニアでは、①重いものを床から持ち上げない。②長時間のデスクワークや自動車運転などの前屈姿勢。③運動不足や体重の増加。④身体を捻るスポーツ(ゴルフや野球など身体の片側に負担がかかる運動)に注意する。
脊柱管狭窄症
・中高年男性に多い。
・脊柱管狭窄とは、脊柱管の前方から椎間板や椎体後縁骨棘の突出、後方から黄色靭帯の肥厚、側方から椎間関節の棘で狭くなった状態を指す。
・脊椎すべり症により、脊柱管が狭くなることでおこるケースもある。
・間欠性跛行が起こる。歩行中、神経および神経周辺の血管が脊柱管が狭い影響で上下に滑走することができず、痛みや痺れが現れ歩行困難となる。座位姿勢や脊柱を屈曲することで血管や神経の圧迫が和らぎ、歩行可能となる。
・殿部や大腿後面、下腿後面、足部にかけて痛みや痺れ、重だるさを感じることが多い。
・尿や便が出にくくなったり、漏れてしまうなどの膀胱直腸障害と呼ばれる症状が現れた場合は、手術を行うことが望ましい。
・腰を反る動作は、脊柱管が狭くなり症状を悪化させる。無理してウォーキングを行うことにも注意する。
腰椎椎間関節症
・腰椎の椎間関節が炎症を起こしたり、動きが悪くなったりすることで起こる。
・腰痛は、左右どちらかに起こることが多く、特にお尻や太ももの裏にまで痛みが波及することがある。重症でなければ安静時痛はない。腰を反らす・捻る動作で痛みが現れやすい。
・原因は椎間関節への繰り返される負担や加齢などがある。椎間関節は腰を反ったり捻った入りすることで負担がかかる。多少の負担なら問題ないが過度に大きく動かしたり何度も繰り返し動かすことで徐々に腰痛を発症する。
・コルセットや痛み止めを内服し、対処する。ある程度、症状が落ち着いたらストレッチや筋力トレーニングを行う。痛みが強い場合は、椎間関節に痛み止めを注射する椎間関節ブロックを行うこともある。
・多くの場合、予後良好だが進行すると骨変性・変形が進み神経に影響を及ぼすこともある。
腰椎すべり症
・積み木のように連なる腰椎が前方へ滑り出してしまい様々な症状を引き起こす(背骨や椎間板などの変性により起こる)。
・変性すべり症と腰椎分離症に続発する分離すべり症に分けられる。(原因は異なるが、これらの症状は似ており、L4に好発する)
・腰椎分離すべり症は、椎体と椎弓が分離している。この状態で放置すると、分離した部分の腰椎の安定性が失われ、上下の骨にズレが生じる。このように、根本に分離症があり、その結果、腰椎すべり症に移行してしまった状態を腰椎分離すべり症という。※腰椎分離症は、骨が未発達である成長期の子供がスポーツの練習などで繰り返し腰に負担をかけることで発症する。スポーツ選手の30%が分離症といわれている。腰を反らしたときに痛みが増す。
・腰椎変性すべり症は、明らかな原因は不明だが、多くは加齢とともに椎間板や靭帯、関節など腰椎を固定している組織が変性を起こし、それに伴い、腰椎の安定性が失われ、腰椎にずれが現れる。このように加齢や長期間にわたる負荷などにより、徐々に腰椎が変性を起こし、その結果、発症したすべり症を腰椎変性すべり症と呼ぶ。そのため、分離すべり症に比べ高齢で発症し、骨などの組織が変性を起こしやすい女性に多い。
・症状は、滑りの程度にもよるが、まず腰痛と坐骨神経痛がある。滑りが強度になると腰椎の後方を走る脊髄神経が圧迫され、下半身に痛みや痺れが出現する。長距離を歩くと痛みが出現し、かがむことで楽になる間欠性跛行の症状も多くみられる。分離すべり症も変性すべり症も結果的に脊髄神経の圧迫が症状の主な原因となるため、出現する症状に大きな差はない。
・すべり症は、保存療法が選択される。コルセットなどにより腰への負担を軽減し、消炎鎮痛剤やブロック注射などで症状の軽減を図る。また、ストレッチや腹筋を中心とした筋力エクササイズを行うのが一般的である。症状が落ち着いてくるようならストレッチや筋力exを継続し、様子観察。痛みや痺れが強い場合や足などが動かなくなったり感覚がなくなる麻痺が起こる場合は、手術療法を検討する。
坐骨神経痛
・人体の中で最も太い神経であり、腰からお尻、太ももの後方を通り、枝分かれしながら足先までつながっている。坐骨神経に沿って、お尻や太ももの後方に痛みが現れることを坐骨神経痛と呼ぶ。
・原因は、様々で最も多いのが椎間板ヘルニアによって坐骨神経の出発点が圧迫されて症状が出ることが多い。その他にも脊柱管狭窄症やお尻の筋肉によって坐骨神経が圧迫される梨状筋症候群など原因は多岐にわたる。
・治療は坐骨神経痛は様々な原因によって起こるため治療もさまざまである。例えば、ヘルニアによる坐骨神経痛であればブロック注射や薬の内服、運動などが行われ、症状が強い場合は手術が選択される。