腰痛や股・膝関節などの運動器疼痛症候群は、明らかな外傷や腫瘍、感染症などのレッドフラッグを除けば、対象者の長年の姿勢や生活習慣、職業、スポーツなどが特定の組織に物理的ストレスを繰り返し、または持続的にかかることによる累積荷重型損傷が多い。
持続的または繰り返される小さなぶり理的ストレスは、対象者が意識しない間に徐々に組織の耐性を低下させ、あるとき小さな物理的ストレスで構造的な損傷を起こす。例えば、骨盤後傾位で長時間車の運転をすると椎間板に持続的な圧縮力がかかる。
このような毎日繰り返される意識されない組織に対する物理的ストレスは、異常姿勢アライメントや異常運動パターンが原因になる。その原因を除去し、組織にかかる物理的ストレスを一定時間リセットすることにより組織の耐性は回復する。
習慣化された姿勢アライメントの異常や異常な運動パターンは、特定の筋の過剰使用を引き起こし、過緊張傾向になる。一方、過緊張筋の拮抗筋は相反抑制の影響を受け、弱化の傾向に陥る。このマッスルインバランスが姿勢アライメント異常を作り出し、正常な運動パターンを変化させるという悪循環を起こし、累積荷重型損傷の原因となる。痛みのある部位を治療し、対象者の訴えが一時的に改善したとしても原因となっている異常姿勢アライメントや異常な運動パターンを改善しなければ累積荷重型損傷は再発を起こす。
<出典>
マッスルインバランス改善の為の機能的運動療法ガイドブック
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