マッスルインバランスと関節のインバランス

姿勢筋(僧帽筋上部や肩甲挙筋、大胸筋など)は、過緊張・短縮する傾向にあり、相動筋(広背筋や僧帽筋中部・下部、菱形筋)よりも筋力は強く、主に多関節筋である。これに対して相動筋は、筋力が姿勢筋に対して弱い傾向にあり、正常な状態より緩んだ状態になりやすく主に単関節筋が多い。
姿勢筋の過緊張は相反抑制によりその拮抗筋を抑制し、相対的に弱化を引き起こす。主動作筋と拮抗筋の間でこのマッスルインバランスが起こるとストレッチングなどにより過緊張筋を伸張しても拮抗筋である弱化筋を活性化しないとまた元に戻ってしまい効果が長続きしない。
筋の緊張は、脳が決めているため、一方の筋緊張が高くなると他方の緊張は低下する傾向がある。

関節には可動性が必要な可動性関節、安定性が必要な安定性関節あり、それらは交互に連結している。可動性関節と安定性関節は相互に影響を与える。人間の運動は硬い関節よりも、より柔らかい間で動きが起こりやすく、一つの関節に可動域制限が起こると他の関節で代償運動が起こる。

過緊張筋は、関節の可動性を制限し、隣接する関節の代償運動の原因になる。可動性が必要な関節に可動域制限が起こると安定性の必要な関節に対して、その安定性を壊す結果になる。
例えば、可動性が必要な股関節の動きが制限されると隣接する腰椎や膝関節の安定性を壊し、障害の原因になる。痛みのある関節の原因は、痛みのない隣接する可動性が必要な関節の機能障害が原因である場合があり、関節関節の相互作用を考慮したアプローチが必要である。

<出典>

マッスルインバランス改善の為の機能的運動療法ガイドブック

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