Brunnstrom Stage

各回復段階における上肢・手指治療の考え方

<出典>

片麻痺の運動療法、身体障害の作業療法、エガース・片麻痺の作業療法

上肢・手指Br.stage:Ⅰ、Ⅱ

治療目標は、筋緊張を高め、反射を基礎とした共同運動パターンを誘発すること

身体障害の作業療法 p455
  • 連合反応を誘発する。健側への抵抗運動を利用して患側上肢筋群に連合反応を引き起こし、動きの感覚を経験させる。
  • 自動介助運動にて、肘屈伸や肩甲骨の内外転を行い、屈筋・伸筋共同運動の要素を誘発する。
  • 臥位にて、自動介助運動を行う。両手指を組んで肘を伸展させた状態で肩の屈曲運動を行う。両手指を組むことにより手掌からの感覚を入力する。
  • 支持性向上のため、患側への荷重を促し、肩関節周囲筋の同時収縮を促す。
  • 麻痺側が利き手であれば、ADLでの使用は困難であるため、利き手交換を行う。食事場面ではスプーン・フォークを使用することやお箸の種類の種類を段階づける。
上肢・手指Br.stage:Ⅲ

この段階では、共同運動パターンの随意的コントロールを得ること

身体障害の作業療法 p455
  • 伸筋共同運動は、肩内転・内旋に強く、肘伸展が最も弱い要素であるため、肘関節の伸筋を強化するために、麻痺側上肢へ荷重を促す。
  • 両手動作の輪入れやワイピングを行い、伸展共同運動を促す。また、前後へ体重移動により体幹や股関節の緊張を高める。意識的努力を必要とする場合、疲労しやすく緊張を高めるため注意する。
  • 右片麻痺(利き手)の場合は、食事動作での使用は困難であるため、非麻痺側(非利き手)の操作訓練を継続する。左片麻痺の場合は、非麻痺側での活動(書字動作など)で紙を固定し、伸筋共同運動を促す
  • 異常な共同運動パターンの逆方向の運動を取り入れて、皮質内抑制を是正する。
上肢・手指Br.stage:Ⅳ

基本的共同運動から逸脱した比較的簡単な運動の組み合わせのいくつかを患者に指導すること

片麻痺の運動療法 p83
  • 屈筋・伸筋共同運動から少し分離された運動へと誘導する。セラピストが、肩外転を抑制しながら肘屈曲、前腕回内運動や肘伸展位での肩水平外転、前腕回内運動を行う。
  • 自動運動にて輪入れを行う。ポールの高さや位置を変える事で肩甲帯を安定させ、肘伸展位での肩屈曲により分離運動を促す。また、輪を入れる際に前腕回内から前腕回外運動へと段階付ける。
  • サンディングを行う。まずは前腕回内位から中間位、最後は回外位で把持することで、上肢・手指の分離を促通する。
  • 物品操作を行う。肩下垂・肘伸展位で床上のお手玉を摘まむ。側腹つまみにて、前方に運び、床上に手指を伸展させて落とす。段階付けとして、高さを上げる。この際、屈筋痙性による母指の内転・屈曲や肘屈曲を抑制すること。摘まむより離すことに意識を向ける。屈筋痙性が高まった場合は、セラピストが痙性を抑制し、運動を繰り返すことが重要である。                                                                                  
上肢・手指Br.stage:Ⅴ

複雑な運動パターンを行うために、拮抗する共同運動の要素を組み合わせて共同運動から離脱していくこと

身体障害の作業療法 p455
  • ペグや輪入れ、おはじきなどを用いて上肢を空間に保持する。また、前後・左右へのリーチ運動、ポールに輪を通したり台の穴にペグを挿すなど手関節や手指の微細なコントロールを促す。母指と示指、母指と中指でつまむことで手指の分離性および巧緻性向上を図る。段階づけは、物品の大きさや作業環境を調整する。
  • 風船バレーを用いて、肩甲帯の安定性向上と運動方向のコントロール、手指のすばやい伸展など協調性を高める。
  • ネジ回しや折り紙など巧緻動作練習を行う。
上肢・手指Br.stage:Ⅵ

複雑な運動の組み合わせが増え、分離運動が可能になる。治療目標は、組み合わせた運動や分離運動を容易に行えるようにし、運動の速度を速くすること。

身体障害の作業療法 p456
  • 実際の日常生活場面に患手を参加させる。
まとめ
  • まずは、回復段階に応じた運動を行い、分離性を高めること。そして、Ⅲ~Ⅳの移行期から更衣での袖通しや入浴時の洗体動作など日常生活場面で患側上肢・手指を参加させていくこと大切だと考えています。

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